掲載日:2007/11/16

株式会社ベック 岡本吉弘氏 インタビューNEW

プロデュースの資質のある人材を募集中

 
岡本吉弘さん
株式会社ベックバンダイナムコゲームス

株式会社ベック
コンシューマープロダクト本部
副本部長
岡本吉弘さん

 世界トップクラスのゲーム会社であるバンダイナムコゲームスを、制作部隊として支える株式会社ベック。プレイステーション3のローンチタイトルであるPS3『機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト』を開発する技術力に、『交響詩篇エウレカセブン』(PS2ゲーム版は、『エウレカセブン TR:1 NEW WAVE』、『エウレカセブン NEW VISION』)に最初から参画する企画力など、キャラクターゲームの制作力は、国内でもトップクラスを誇る。そんなベックが、さらなる制作力強化を目指すべく、新たな人材の募集を開始。今回は、プロデューサー職の求人だが、いったいどのような人材が求められているのだろうか? コンシューマープロダクト本部 副本部長である、岡本吉弘さんに話を伺った。


■ 作り手の「やりたい!」を実現できる会社

――岡本さんは、担当業務は?


岡本 ベックは、バンダイナムコゲームス(以下、BNG)の制作会社という位置付けなので、ゲームを作る上での三大要素“制作”、“営業”、“宣伝”の“制作”の部分を主として担当しています。その中で、制作するゲームの方向性の決定から、制作スタッフとBNG側との調整まで行う“制作プロデュース”部門と実際にゲームの開発を行う“開発”部門を、副本部長という立場で指揮しています。具体的には、ゲームソフトの立案からマスターアップまでのすべてのハンドリングが社内で行なわれています。



――ベックはどのような会社ですか?


岡本 いろんな意味で、“諦めないで済む”会社だと思います。正社員以外のスタッフも含めると150、60人ほどの中規模クラスの会社ですが、この人数では考えられない数の開発ラインが動いています。今動いているのは、大小のプロジェクトを合わせて、7〜8タイトルです。こんなことができるのも、臨機応変に自由にラインが組めるような体制が整っているからです。


 これは、親会社であるBNG自体が大小さまざまなタイトルを扱う会社なので、ベックもおのずと仕事の幅が非常に広く対応する必要があるからです。もちろんタイトルの中にはアニメーションのキャラクターコンテンツだけでなく、オリジナルコンテンツも扱っており、企画立案から行い、実現している実績もありますので開発者の物作りへの情熱も受け止められる会社だと思います。



――最新のオリジナルタイトルは?


岡本 まだ公にできませんが、鋭意制作しています。過去の作品ですが、『交響詩篇エウレカセブン』などは、元々ゲーム企画から始まり、後からアニメーションのコンテンツが作られるというゲーム制作現場の「作りたい!」という気持ちが大きく実ったプロジェクトです。現在制作しているオリジナルタイトルも、スタッフの「やりたい!」という声からスタートしています。企画を立ち上げる上で、必要最低限の指針や方針はもちろん存在していますが、ベックはクリエイターの「やりたい!」を受け止める環境ができている会社でもあります。



――ベックではどのようなスキルが身に付きますか?


岡本 自分の場合は、一作品単位ではなく複数作品単位で長期規模での会社としてのプラン立てや、シリーズ作品としてのラインナップ構築などを、トータルバランスで考えられるようになりました。


プログラマーの場合だと、意外と思われると思いますがプログラマー以外のスキルが身に付くと思います。ベックの場合は、各職種の垣根が非常に低く、プログラマーが担当するプログラムだけで仕事を終わらせるのでなく、他のこともサポートするような仕事が自然と行われています。この流れはグラフィックなどの他の職種にも見られます。ゲーム制作が、より高度な方向に向かって行くほど、他職種同士のリレーションの度合いがゲームの質に影響を与えます。そのため、ベックのスタッフに見られる横の強いつながりは、ソフトのクオリティアップにも重要な要素になっていると思います。社内のいたるところで職種にとらわれず、喧々諤々と議論を交わしているのをよく見かけますので、プログラマーが必要以上に他業種の知識を吸収することができ、それを自分の仕事にフィードバックしていると思います。


また、社員同士、非常に仲が良いです。部署やチームの隔たりがなく、「なんでその組み合わせで飲んでいるの?」と思えるようなことも頻繁にあります。そういう意味では不思議な人間関係のできている会社です。



――横のつながりが良い結果として現れたタイトルはありますか?


岡本 正直、弊社の制作体制では、PS3の『機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト』は、困難な制作だったと思います。当時は、“ローンチのタイトルを出したことがなく”、“100人弱で複数タイトルを進めている”という状況でした。ただ、言われることをやるだけのスタッフでなく、自分から率先してさらなる上を目指す意識のあるスタッフが大勢いたので、PS3の『機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト』が発売できたのです。結果として、数少ないPS3のローンチタイトルを完成させた制作会社として名をはせることが出来ました。


各フロアに設置された社内報からの、横のつながりの良さが伝わってきます。

――キャラクターゲームを作るからこそのスキルはありますか?


岡本 キャラクターゲームとオリジナルゲームは、作り方が全く違います。キャラクターゲームの場合は、マンガやアニメーションなどそのキャラクターが最も活躍できるコンテンツがすでに存在していますので、最初に要素の抽出を正確に行うことが必要です。また、抽出したものを大きく育ててゲームに反映させなければなりません。つまり、キャラクターゲームではその“種”をどううまく育てるのかが非常に重要になります。



――キャラクターゲームを制作する上での心構えなどありますか?


岡本 「キャラクターゲームが、そのキャラクターが生まれた既存のコンテンツに勝てないのか?」と言われれば、答えは“NO”です。それはゲームにはゲームだけが持つインタラクティブ性があるからです。逆に注意しなければならないのは、原作を忠実に再現することに執着するあまり、映像中心のゲームにならないようにすることです。なぜなら既存のコンテンツが映像であった場合、ゲームの存在意義自体が薄れてしまうからです。オリジナルゲームが、“発明・発見的感性”を必要とするならば、キャラクターゲームは“進化的想像の感性”が必要だと言えます。



――岡本さんの目標は?


岡本 今以上に、世間の皆さんにベックの存在をアピールしていきたいと思っています。会社として今までやったことがないことにトライしていくのもそうですし、他の会社には真似できないことを増やしたいとは思っています。これは達成できる目標ではないかも知れませんが、今会社にとって必要なチャレンジだと思っています。

PS3用『機動戦士ガンダム ターゲットインサイト』
 『機動戦士ガンダム ターゲットインサイト』ゲーム画面
機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト / 対応機種:PS3
2006年11月11日発売 / (C)創通・サンライズ
会社にとって大きなチャレンジでもあった『機動戦士ガンダム ターゲットインサイト』

■ ベックは、やりたいことをちゃんと実現できる会社

――会社としての代表作は?


岡本 前述のPS3『機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト』、過去にはPS2『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』や、PS2『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズ等があります。日本でも数少ない『ガンダム』のゲームが作れる会社であるのも、ベックの特長です。



――社内の自慢できる点は?


岡本 開発環境は数あるデベロッパーの中でも非常に恵まれていると思います。また、ゆとりのある環境で仕事ができるオフィスになっています。駅徒歩0分というのも良い部分です。また、会社が浅草にあるので、文化的にも豊かだと思います。






――どのような社風でしょうか?


岡本 自由な会社ですね。自分がやりたいと手を挙げたものに関しては、かなり高い確率で形にさせることもできます。ただ、自由ではありますが、その分自分の言ったことに責任を持って実行していただく必要性があります。また、計画性も重要視していますので、奔放で良いと言うわけではありません。逆にその良い影響として会社遅くまで残って仕事する人は減りました。この“自由”と“有言実行主義”が浸透してきているのが現在です。



――制作発注はどのような流れですか?


岡本 “恒久的なタイトル”と“旬なタイトル”で、変わってきます。『ガンダム』シリーズのような恒久的なものは、こちらから提案することが多く、逆に現在放送している『ゲゲゲの鬼太郎』や昨年まで放送していた『デジモン』などの旬を重要視するタイトルの場合は、BNGからオーダーをされることが多いです。旬でないものは、ほとんどオリジナルゲームと同じ扱いで、ベック側で提案を行うことで開発がスタートするような感じです。



――原作キャラクターのゲームへの採用具合は、だれが決めるのですか?


岡本 基本的には、プロデューサーです。もちろん、プロデューサーが全権を持っているわけではないですが、シリーズをふまえてのプランニングや、作業時間なども考慮して、判断している部分があります。また、ユーザーにとって需要を喚起させる内容かを見極めるのもプロデューサーの仕事です。明確な答えのない部分ですが、傾向は存在しているため、その部分を分析しゲームに反映させていきます。この判断は非常に重要で、ゲーム制作の目的ともいえる部分になります。この目的を見誤らないようにしないと、会社の利益やスタッフへの評価に結びつかないため、やはりプロデューサーはゲーム開発において重要な役割だと言えます。

■ プロデュース業を理解している人材を求む!

――プロデューサーの人材を求めているそうですが、どのような人材を求めていますか?


岡本 知識人で、かつ知識を運用できる人が良いですね。また、職種がプロデューサーという立場なので、人の上に立てるということも重要ですし、先導としての役目を果たせる人を求めています。資質としては、先頭に立って、チームを引っ張っていける人が良いです。



――求めるスキルなどありますか?


岡本 もちろん、業界経験者である方が良いのですが、誰にも負けない知識を持っていることも大事だと思います。ゲームのプロデュースをする時、“ゲーム自体の知識”の重要性は20番目くらいなので、まずはプロデューサー業の資質や本質を分かっていることが、もっとも重要です。他業種の人でも、プロデュース業を理解していると自負している人は是非応募してほしいと思います。



――今回、募集されるプロデューサーは社内制作担当者ですか?


岡本 そこに垣根はありません。社内制作の仕事ももちろんありますが、デベロッパーさんに制作を委託する場合もあります。仕事内容としては、ハンドリングする先が、社内であるか社外であるのかの差しかないので、仕事内容的には変わりません。タイトルとして実績の積み重ねが期待できるものは社内制作で行う場合が多く、すでに得意分野を持っておられるデベロッパーさんに委託する方がより良い結果を導き出せるものは、委託しています。



――募集者の仕事はすでに決まっていますか?


岡本 ベックでは、プロデューサーとディレクターが企画自体を立ち上げるので、誰かの案件を引き継ぐといったことはありません。新しく入っていただける方にも、自分で仕事を見つけて作ってもらうことになります。もちろん、それまでのスキルを考慮しOJT(On-the-Job Training)を行いますが、ゆくゆくは自分の力で進めていける人であってほしいと思います。



――新規プロデューサーが目指すべき仕事は?


岡本 ラインナップのバリエーションアップをねらってほしいですね。ゲームの購買層は、中学生を中心とした世代ですが、すべての中学生がゲームを遊んでいるわけではありませんので。ゲームを遊んでいない層にもアピールできるゲームを目指していただきたいです。是非、ベックの柱となる新シリーズを樹立してください。

ベック受付
 岡本さんの机
 ベック開発社内
ベック受付(左)/岡本さんの机(右上)/ベック開発社内(右下)

 

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